ずっと前から愛してる




バンッという音とともに
私の目の前に大きな空が広がった



「……きれー」



取り乱していた心を
落ち着けてくれるような青い空


雲なんか1つもなくて、
ただ青い色が一面に広がっていた



手すりのところまで行って
下を見ると3階分の階段と
中庭的なものがあることがわかった



あたしはその場に腰を下ろして
ケータイを開いた





「…着信、ないっか…」



ちょっとだけ期待してた

直樹が着信くれてるんじゃないかって

ごめん、って言ってくれるんじゃないかって



でも、直樹にしてみたら
幼馴染の仲良い女の子ってだけで

恋愛感情はない



だからあたしが泣いてたって
どうでもいいこと




「あー…泣きそ」



こぼれそうになる涙を
ぐっと堪えて上を向いた


空がどんどん歪んでいく



一つまばたきをすると
一つ涙が零れ落ちた








< 52 / 89 >

この作品をシェア

pagetop