ずっと前から愛してる






修二くんの視線に誘われて
あたしも空を見上げた



やっぱり雲ひとつない空は
悲しい気持ちを
ちょっとだけ晴らしてくれた




昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴っても修二くんは立ち上がろうとしなかった




いつの間にか引いていた涙
何も話さないけど
たしかな存在感を感じる隣


不思議と安心感が
私の心に染み渡った




「…ねぇ、修二くん」


「ん?どした?」



5時間目も半分ほど過ぎた頃
あたしは修二くんに問いかけた



「どうして、ここにいたの?」


「…俺のお気に入りの場所だから」


「お気に入り?」


「ああ。
ここにくればいつだって落ち着ける。
嫌なことがあっても悲しいことがあっても
ここにくれば全て忘れられる気がする」


「…そうなんだ。」




優しく少しだけ笑った修二くん
笑ったというより微笑んだ、かな?




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