ラヴレター(仮)
風の通らない講堂に所狭しと並べられたパイプイス。
懐かしい母校の講堂にあたしは足を一歩踏み入れた。じわりと汗が滲む熱気、どこか落ち着かない雰囲気が漂うこの空間にあたしも少し浮ついた。
制服姿の高校生だけでなく、一般客も多くいる。なかにはKishのライヴTシャツを着ているファンも多くいる。
さて、どこで聴こうかと視線をさ迷わせるとこの場に似つかわしい人を見つけて足を向けた。
その姿をみたとき、一瞬にして気持ちはあの頃へと戻る。
このざわめきのなか声の聞こえる距離まで近付くと舞台を見ていた目があたしを見た。
相変わらず、やる気のない表情と気だるげな姿勢でパイプイスに腰掛けている。
「どっかで見た顔だな」
「お久しぶりですね先生」
座るか、と無言で隣を指して先生はもう何年になるか、と聞いてきた。
「7年ぐらいですかね?」
「そんなになるか」
「そんな前のことを先生が覚えていらっしゃることがあたしには不思議でたまりませんけどね」
苦虫を噛み潰したかのように先生は顔をしかめる。
先生と呼ぶのは止めろ、とぶっきらぼうに。
「まつやん?」
「良くも悪くも、お前らのような目立つ連中を忘れるもんか」
確かに、何年も前のことなのにはっきりと思い出される。
「かなり、ばかやっちゃいましたもんねーあたしたち」
音が鳴る。
あたしの頭の中で一平の鳴らすスティックが響いている。
懐かしい母校の講堂にあたしは足を一歩踏み入れた。じわりと汗が滲む熱気、どこか落ち着かない雰囲気が漂うこの空間にあたしも少し浮ついた。
制服姿の高校生だけでなく、一般客も多くいる。なかにはKishのライヴTシャツを着ているファンも多くいる。
さて、どこで聴こうかと視線をさ迷わせるとこの場に似つかわしい人を見つけて足を向けた。
その姿をみたとき、一瞬にして気持ちはあの頃へと戻る。
このざわめきのなか声の聞こえる距離まで近付くと舞台を見ていた目があたしを見た。
相変わらず、やる気のない表情と気だるげな姿勢でパイプイスに腰掛けている。
「どっかで見た顔だな」
「お久しぶりですね先生」
座るか、と無言で隣を指して先生はもう何年になるか、と聞いてきた。
「7年ぐらいですかね?」
「そんなになるか」
「そんな前のことを先生が覚えていらっしゃることがあたしには不思議でたまりませんけどね」
苦虫を噛み潰したかのように先生は顔をしかめる。
先生と呼ぶのは止めろ、とぶっきらぼうに。
「まつやん?」
「良くも悪くも、お前らのような目立つ連中を忘れるもんか」
確かに、何年も前のことなのにはっきりと思い出される。
「かなり、ばかやっちゃいましたもんねーあたしたち」
音が鳴る。
あたしの頭の中で一平の鳴らすスティックが響いている。