ラヴレター(仮)
いつだって本気で、それこそ手抜きを知らない。
こちらが引いてしまうほどに全力投球な彼は、柔軟な考えを持っていて周囲を巻き込みながらぐいぐいをみんなを引っ張っていく。

底抜けに明るくて、そして能天気で、いつだってみんなの中心人物。彼の周りは笑顔が絶えない。



『すげぇすげぇ、目ぇ回りそうだよ』

あの時の彼は目をキラキラさせて、このあと突拍子もないことを言う。

『だって勿体ないじゃん』


できると。
できないはずはない、と思わせてしまう何かが彼にはあった。


自然とはじまりを思い出して笑みが零れた。
ったく、バカなんだから。
一平の姿を写した雪景色の写真を指で弾いた。


携帯のメモリから見慣れた名前を引っ張り出して、頑張れと一言。送信ボタンに手を置いて一瞬考え、さらに一言付け加えた。

見てるよ、と。
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