君は変人
「桜、変わってるよね」とあたしが言うと、ゲンと川さんは頷いた。
「俺は、こんな変人に会ったのは初めてだ」
「私はこの先何十年生きていても、こんな変人に会えない気がする」
川さんのもっともな意見に、そうだね、と声が揃う。
「そう言えば、玲菜、お前最近彼氏とどーなわけ?」
「この前の彼氏は1週間で終わったけど、今の人は付き合って3日?4日だっけ?」
意外とモテるのか、あたしはよく告白される。
誰でもいいってわけではないが、顔がそれなりなら答えはいつもイエスだ。
そのせいか、あまりあたしの恋愛は続かないのだ。
「お前、本当軽いよな」
「玲菜、気をつけないと刺されるかもよ」
2人はあたしが別れるたびに、こんな言葉を言うのだ。
「ん~でも、続かないんだって。2人はどーなの?川さんだって、告られてるじゃん」
モテる、と言えば川さんだ。
あたしの2倍は告られているはずだ。
しかし、それを尽くふるのも川さんだ。
「まあ、それなりに。だけど、私のことを何も知らない奴に好きだと言われても、困る」
「俺も、知らない奴とは付き合えねえわ」
そうなのかな~、とあたしが言うと、川さんが、こんなの桜が聞いてたらまたうるさいよ、と言った。
桜をちらっと見た。
良かった。読書に集中している。
「ここ見てくれよ」
集中していると思ったのもつかの間、桜はいきなり話しかけてきた。