君は変人

「桜、変わってるよね」とあたしが言うと、ゲンと川さんは頷いた。

「俺は、こんな変人に会ったのは初めてだ」

「私はこの先何十年生きていても、こんな変人に会えない気がする」

川さんのもっともな意見に、そうだね、と声が揃う。


「そう言えば、玲菜、お前最近彼氏とどーなわけ?」

「この前の彼氏は1週間で終わったけど、今の人は付き合って3日?4日だっけ?」


意外とモテるのか、あたしはよく告白される。

誰でもいいってわけではないが、顔がそれなりなら答えはいつもイエスだ。

そのせいか、あまりあたしの恋愛は続かないのだ。


「お前、本当軽いよな」

「玲菜、気をつけないと刺されるかもよ」

2人はあたしが別れるたびに、こんな言葉を言うのだ。


「ん~でも、続かないんだって。2人はどーなの?川さんだって、告られてるじゃん」

モテる、と言えば川さんだ。

あたしの2倍は告られているはずだ。

しかし、それを尽くふるのも川さんだ。


「まあ、それなりに。だけど、私のことを何も知らない奴に好きだと言われても、困る」

「俺も、知らない奴とは付き合えねえわ」


そうなのかな~、とあたしが言うと、川さんが、こんなの桜が聞いてたらまたうるさいよ、と言った。

桜をちらっと見た。

良かった。読書に集中している。


「ここ見てくれよ」

集中していると思ったのもつかの間、桜はいきなり話しかけてきた。


< 11 / 145 >

この作品をシェア

pagetop