君は変人
中2六月―百合―
ためらいもなく言えたことが、昨日言えなかった。
それは、別に体調が悪かったとか、気分的問題ではなくて、多分それは相手が田上だったからだ。
認めたくないけど、認めざる負えない。
私は田上に、若干の好意を持っている。残念ながら。
今日の時間割はもう全て終わろうとしているのに、1度も桜と会話を交わしていない。
何度か勇気を出して試みてみた。
だけど、呆気なく、避けらられた。
そして、機嫌がMAXに悪いため、源や玲菜ならともかく、私のクラス全体に被害が及んでいる。
困ったものだ、全く。
「かーわーさんっ」
玲菜の明るい声が、5限目後の10分休みに、上から降ってきた。
「事情聴取してもいいか?」
源が横から言った。
「それは、どういうこと?」
「要約すると、次サボろうぜ」
話の内容は、大体分かる。
99%、昨日のことだ。
「私は構わないけど・・・・・・いいの?」
「大丈夫。俺ら、天才だから」
私は横目で桜を見た。
桜はこちらを見向きもしないで、窓から木々を見つめていた。
源と玲菜が歩きだしたので、私も慌てて、席を立った。
視線を感じたけど、あえて見なかった。
いや、怖くて見れなかった。