君は変人


「本当は、少し川さんに嫉妬してた。
なんで健人と付き合ったばかりで、幸せいっぱいなはずなのに、最近元気ないのかなって。
それ以上に、何が欲しいのって。
だって、私なんて何にも持ってないのに」


美雪にしたら、そう思うだろうなあ。




だけど、とあたしは思う。


多分、川さんはまだ桜が好きだ。

そして、それには劣るけど、田上のことも好きなんだと思う。


これは、完全な憶測だけど。



本人は否定するけど、見てれば分かる。

川さんがいつも目で追ってるのは、田上じゃない。



他の誰でもなく、桜だ。



「私、川さん大好きなの。
だけど、だけど、嫌いになっちゃいそうで、怖いよ。
玲菜。どうしたらいいかな?」


一瞬、ぼーっとしていて、我に返るとそんなことを言われた。

反復してみた。



え、相談ですか。

あたし、完全相談する側なんですけど。


川さんの方が・・・・・・。


いや、今は川さんにはできない相談なのか。



「・・・・・・告っちゃえ」


ふと出た言葉に、美雪は唖然として、口をポカンと開けた。




< 127 / 145 >

この作品をシェア

pagetop