君は変人

「そんなのフラれるに、決まってるじゃん」


美雪は怪訝な顔をして、あたしを見た。


「あたしは･･････あたしは、フラれるって分かってて、告白したことあるよ。
だって、ちゃんとフラれないと、諦めきれなかったもん」


久しぶりに、トシ兄のことを思い出した。

今頃、美緒さんと上手くやってるんだろうか。


「玲奈も、フラれるの？」


「当たり前だって！
あたし、７年越しの片思いだったし」


美雪はまだ半信半疑だったけど、それもそうか、と納得した。

好きな人がいても、あたしは別の人と何度も何度も付き合ってたのだから。



「あたしさ、美雪に川さんのこと嫌いになってほしくないんだ。
川さん、美雪のことすごく好きだから、ちょっとクールだけど、川さんと友達でいてほしい。
ま、あたしの次にだけどさ」


美雪はクスッと笑うと、言った。


「玲奈には勝てないよ。
･･････私、頑張ってみる。
健人のこと、今でもすごく好きだから」


そう言って顔を赤らめる美雪を見て、やっぱりあたしには健人の良さは未だにわからなかった。


ついつい、それを滑らしてしまうと、美雪はチャイムが鳴るまで、健人の良さについて、語ってきた。


こんな恋バナは、望んでない、まったく。