君は変人
桜が泣いている。
自信家で屁理屈で、人とどこか距離を置く桜が、私の胸の中でひっそりと泣いている。
ねえ、君はもう十分人間らしいよ。
小さく呟いた言葉が桜に届いたのかどうか、分からない。
しがみ付くようにポロシャツを握る桜が、今どんな思いでいるのかも分からない。
ただ、桜の言葉が記号なんかじゃないことは確かだ。
たくさんの人が彼の言葉に感動し、一時でも彼に尊敬の念を向ける。
悩んだり、泣いたり、感情を露にする桜は、凄く人間らしい。
だから、君はきっと人を好きになる。
私以外の人を好きになっても構わない。
どうか、お願いだから、人を愛する喜びを知って、そんな悲しい涙を流さなくて済むようになりますように。