君は変人
そんなことはどうでもよくて、とあたしは何とか本題に戻す。
どうしてこうも、どんどん話題が違う方へと行ってしまうのか。
「あのね、だからね、あたしが言いたいのは桜は川さんのことが…、」
と同時に教室の扉が勢いよく開いて、視線を動かすとゲンと川さんがちょうど入ってきた。
せっかく核心をつけるところだったのに!
「小道具の製作は進んでるかー?」
「それがスーが喋ってばかりのせいで、予想外に進んでいなくて困っているところなんだ」
「おいおいマジかよー、こっちは暑い中買い出し行ってたっていうのにさ」
「ちょ、ゲンまでひどいって!あたしなりには頑張ったよ!
川さんは信じてくれるよね?」
「どう見ても行く前と景色に変化はないけどね」
うぎゃ、的確な指摘があたしのはらわたを抉った。
そうですよね変わってませんよね。何もしていない証拠ですよね。
「まあ、でも桜も同罪だけど」
さすが川さんは全ての人に公平な素晴らしいお方で。
ちらりと見やると、きまりの悪そうな顔をして口笛を吹き出した。
それからはというと、真面目にちまちま手を動かして、一応クラス全員のお揃いの手作りうちわは完成した。
なんだ、案外やってのけれちゃうんだなーとあたしは一人感動する。
と思ったら、よく見ると残り3人もなんだかんだで感動してるみたいだった。
青春っぽいね、と笑うと、春は青くない桃色だそれに今は夏だ、と桜に怒られた。
これだから空気の読めない奴は困る。