君は変人
現在2
中2四月―百合―
春という季節は、どうも人に恋をさせるようだ。
新しいクラスになって間もないというのに、もう何組か付き合っている人たちはいる。
そして、その中の一組に玲菜と源のカップルがいるのだ。
いつの間に、と私が言う前に二人は仲良さそうに歩いて行った。
本当に、いつの間に。
「しょうがないから、二人で帰ろう」
うん、と返事をする前にもう桜は鞄を持っていた。
私には選択の余地がないようだ、と悟る。
いつも四人で歩いていた道を二人で歩くというのは、少なからず抵抗はある。
しかも、相手は桜だ。
嬉しいという気持ちと恥ずかしいという気持ちが入り混じり、自分が普通の思春期の女子であることを実感した。
「百合、人を好きになったことはあるか?」
桜はふと思い出したようにというわけでなく、まるでずっと前から聞くつもりだったように言った。
「多分、ある」
おそらく今この瞬間もだ、とは言わない。
というか、言えない。
「多分か。やっぱり難しいものだな」
桜は鼻の頭を掻きながら、眉間にしわを寄せた。
「桜は、人を好きになりたいの?」
「俺は恋愛については、無知に近い。
何しろ、自分の目や耳で感じれるものじゃないからな。
だから、俺の演説はあくまで俺の演説であって、というより、架空の俺の考えなわけだ。でも、最近は出来るものならしてみたいと思うよ」
そう言えば、最近桜は恋愛を否定しなくなった。
今まで散々悪く言っていたのに。
「恋愛は楽しいか?」
夕日に当たる桜は、鼻も口も目も全てのパーツが整っていて、見惚れてしまう。
少し戸惑いながらも、私は答えた。
「楽しいよ、とても」
桜が微笑んでいるのが見なくても分かる。
空気が柔らかくなるとはこういうことだろう。
桜がぱっと舞うような、そんな感じだ。
新しいクラスになって間もないというのに、もう何組か付き合っている人たちはいる。
そして、その中の一組に玲菜と源のカップルがいるのだ。
いつの間に、と私が言う前に二人は仲良さそうに歩いて行った。
本当に、いつの間に。
「しょうがないから、二人で帰ろう」
うん、と返事をする前にもう桜は鞄を持っていた。
私には選択の余地がないようだ、と悟る。
いつも四人で歩いていた道を二人で歩くというのは、少なからず抵抗はある。
しかも、相手は桜だ。
嬉しいという気持ちと恥ずかしいという気持ちが入り混じり、自分が普通の思春期の女子であることを実感した。
「百合、人を好きになったことはあるか?」
桜はふと思い出したようにというわけでなく、まるでずっと前から聞くつもりだったように言った。
「多分、ある」
おそらく今この瞬間もだ、とは言わない。
というか、言えない。
「多分か。やっぱり難しいものだな」
桜は鼻の頭を掻きながら、眉間にしわを寄せた。
「桜は、人を好きになりたいの?」
「俺は恋愛については、無知に近い。
何しろ、自分の目や耳で感じれるものじゃないからな。
だから、俺の演説はあくまで俺の演説であって、というより、架空の俺の考えなわけだ。でも、最近は出来るものならしてみたいと思うよ」
そう言えば、最近桜は恋愛を否定しなくなった。
今まで散々悪く言っていたのに。
「恋愛は楽しいか?」
夕日に当たる桜は、鼻も口も目も全てのパーツが整っていて、見惚れてしまう。
少し戸惑いながらも、私は答えた。
「楽しいよ、とても」
桜が微笑んでいるのが見なくても分かる。
空気が柔らかくなるとはこういうことだろう。
桜がぱっと舞うような、そんな感じだ。