君は変人
百合は俺のこと何でも分かるんだな、と桜は笑った。

「どこで分かったんだ?」

どこで、と言われても勘に近いものだったから、私は少し答えるのに時間がかかった。



「何となくだけど、違和感があった。
お化け屋敷を怖がったわりに、今普通だから」

玲菜と言い争っていたときは、冷や汗を垂らしながら怖がっていたのに、今は何一つ怖そうな顔はしていない。

「どうしても、玲菜を乗り気にさせなきゃいけなかった」

私はちょっとした、探偵気分だった。

横でお化けが私たちに向かって何か言ったり、脅かしてきたりしているが、完全に無視した。

前方から話し声が聞こえる。

玲菜と源だろうか。


「桜、迫真の演技だったよ」

「いや、俺はどちらかと言えば本気でお化けが怖い」

良く見ると桜の目は泳いでいた。

視線が定まっていない。珍しい。


「百合が隣にいるから、少し緊張している。
格好悪いところ見せられないからな」

暗くてよく分からないが、私から見える桜の横顔が赤く染まっていることを願う。

出口まで、私も桜も無言だった。

視界が明るくなって、ちらっと桜を見ると少し恥ずかしそうに私を見た。

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