君は変人
ちっちっちっ、と言いながらまた人差し指を立て、左右に振った。

「2週間と6日だよ。新記録更新中」

確かにいつもに比べれば続いている。


源は相変わらず、ふて腐れている。

本当に分かりやすい。


「でもね、うん、あの人モテるんだよね・・・・・・」

珍しく玲菜は、とてつもなく悲しい顔をした。


これは女子の直感ってやつなのかもしれないが、おそらく、先輩から何かされているのではないか。

恋愛に鈍感な私でさえ、玲菜の新しい彼氏の名前は知っていた。

もちろん、良い噂ばかりでだ。

だからこそ、ただでさえモテる玲菜は目を付けられたのではないか、と。


あくまでこれは、私の勝手な直感と人生経験だ。


「玲菜、何か悩んでることでもあるのか?」


そんな玲菜の小さなSOSにいち早く気づいたのは、やはり源だ。

天晴れ、と心の中で拍手を送る。


「え、いや、何でもないよ」


玲菜の無理している笑みは大体分かる。




「そう言えばよ・・・・・・」と、源は話を戻した。

あえてつっこまないのは、源の優しさだろう。

玲菜の彼氏は源しかいない、と内心で確信した。


そして、いつも通り玲菜と桜は口論を始めた。

ロミオとジュリエットについてのようだ。

その様子を確かめて、源は私に耳打ちした。


「玲菜、大丈夫なのか?」

「うーん。あの様子は結構きてると思う」

「だよな。どうにかしないと」


源の片思いはいつからなのだろう。

私は恋愛に関してそんなに鋭くないと思う。

確信したのは、夏休みぐらいからだが。

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