君は変人

中1十二月―スー―

昔から、年上の女とは相性が悪かった。

これは、もう宿命みたいなものだと思う。


保育所の女の先生には、なぜかいつも睨まれていた。

小学校の時は、近所のお姉さんに挨拶をしても、返事を返されなかった。


本当は部活に入りたかったけど、入らなかったのも、女子の先輩と気が合う自信がなかったからだ。

今思えば、この選択は正しかった。


なぜなら、あたしは今現在進行形で二年の先輩に嫌われている。

現代で言う、いじめってやつだ。


まあ、でも二年で一番モテる人と付き合っているのだから、それくらいの覚悟はしていた。


それにしても、日に日にエスカレートしている。

優人はもちろん、そういうことに鈍感だから、気付いていない。

あたしも言うつもりはないけど。


「あなた、何で黙っているの?
それに行儀作法もなっていませんし。
それに、裸を好むっていう噂もありますわよ」


アンデルセン童話の人魚姫は、悲しい結末の童話として有名だ。

王子に恋をして、声を犠牲にしてまでも、人間に変わった人魚姫が最後に海に身を投げ、泡になるという話だ。


人魚姫は、読み書きなんて出来るはずがない。

もちろん、声を犠牲にしているので、自分の気持ちを話すことも出来ない。

そんな中で、王家の人には散々苛められ、愛する王子に好きだよとも言えない。


どれだけ歯を食い縛って、悔しい思いをしただろう。


「あら。この方、話すことが出来ないのよ」

「まあ。とことん、役立たずね」


二年の女子の意地悪っぷりには、笑ってしまう。

本当に名演技だ。


文化祭前日で忙しいのか、優人の姿はない。

嫌な予感が胸をよぎる。



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