君は変人
桜とは違い、トシ兄はあたしの歩幅に合わせてくれる。
こういう小さなことでも、彼女が羨ましいと思ってしまう。
「ねえ、トシ兄。
彼女のこと・・・・・・好き?」
彼女の話題を避けていたあたしの、精一杯の勇気だった。
「美緒には、本当に何度も何度も助けられた。
ちゃんと、愛してるよ」
その優しい笑みにあたしなんかが入るすきは、全然なかった。
「ケジメつけろよ。
スーのこと、本気で好きな奴もいるんだ。
そいつのためにも、スーはフラれるべきだ」
トシ兄は、何となく状況を把握しているみたいだ。
優人と唯一違うのは、何気に勘がいいことかな。
「トシ兄。
トシ兄に会った時から、ずっと好きだったの。
面と向かって言ったことなかったけど、トシ兄しか見てなかったよ」
言えなかったことが、言えて、安堵すると同時に、トシ兄の微笑みにほっとする。
「俺も玲菜のこと、好きだよ。
玲菜のこと本気で好きな人のこと、ちゃんと大事にしてね。
意外と悲しいこととか抱え込むんだから、それを分かってくれる人と結ばれないと」
コクンコクン、と縦に首を強く振った。
それからは、桜ワールド全開で、桜的恋愛論理をトシ兄に聞かせていた。
時折苦笑するトシ兄や、時には反論するトシ兄の意外な一面を見つつ、あたしの気分は晴れていた。
気付けば、もう家の前だった。
「トシ兄!
あたしのことも、桜のことも、結婚式呼んでね!」
「ちゃんと用意しとく、招待状」
そう言って、手を軽く振ると、トシ兄は家に帰って行った。
こういう小さなことでも、彼女が羨ましいと思ってしまう。
「ねえ、トシ兄。
彼女のこと・・・・・・好き?」
彼女の話題を避けていたあたしの、精一杯の勇気だった。
「美緒には、本当に何度も何度も助けられた。
ちゃんと、愛してるよ」
その優しい笑みにあたしなんかが入るすきは、全然なかった。
「ケジメつけろよ。
スーのこと、本気で好きな奴もいるんだ。
そいつのためにも、スーはフラれるべきだ」
トシ兄は、何となく状況を把握しているみたいだ。
優人と唯一違うのは、何気に勘がいいことかな。
「トシ兄。
トシ兄に会った時から、ずっと好きだったの。
面と向かって言ったことなかったけど、トシ兄しか見てなかったよ」
言えなかったことが、言えて、安堵すると同時に、トシ兄の微笑みにほっとする。
「俺も玲菜のこと、好きだよ。
玲菜のこと本気で好きな人のこと、ちゃんと大事にしてね。
意外と悲しいこととか抱え込むんだから、それを分かってくれる人と結ばれないと」
コクンコクン、と縦に首を強く振った。
それからは、桜ワールド全開で、桜的恋愛論理をトシ兄に聞かせていた。
時折苦笑するトシ兄や、時には反論するトシ兄の意外な一面を見つつ、あたしの気分は晴れていた。
気付けば、もう家の前だった。
「トシ兄!
あたしのことも、桜のことも、結婚式呼んでね!」
「ちゃんと用意しとく、招待状」
そう言って、手を軽く振ると、トシ兄は家に帰って行った。