君は変人
「異星人がやってきて、少年との友情が描かれてるハリウッド映画だよ。少年と異星人が自転車で空を飛ぶところなんて、感動的だったな」

桜はまるでその映画を思い出しているかのように言った。

「てか、それと植物に何の関係が?」

ここまで言って分からないなんてスーはもっと映画見るべきだ、と桜は玲菜を横目で見た。

「その異星人は、地球の植物を研究しに来てたんだよ。つまり、地球よりも進歩してると考えられる場所でも植物は有力視されてるってことなんだよ」

なるほど、とおそらく私を含めた三人は思ったに違いない。

桜に屁理屈で勝てる人はいないだろう、と密かに私はふんでいる。


「だから、百合も植物のひとつだから、名前で呼ぶんだ?」

「当たり前だ」

「だから、桜だったのか?」

「そうだ、俺は桜だ」


桜はやっぱり胸を張る。


そんな彼に、やはりどきっとしている自分。

同時に何か突っ掛かるものがある。

それが何かは、私にはまだ分からない。


私は桜に恋をしている。

しかし、彼には恋愛感情がない。

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