君は変人
中1二月―頼朝―
男子にとって一年で一番過酷なバトルが繰り広げられる日が、やってきた。
俺は、桜や浅川、玲菜とは違い、あそこまでモテない。
あいつらは、尋常じゃない。
俺は実際モテないわけでもないのだが、あいつらと比べると、微々たるものだ。
だけど、こんなこと言ったら、ただの負け惜しみになるのだろうが、チョコレートは好きな子から貰えれば、それだけで十分じゃないか。
大事なのは数ではなく、愛だよ、愛。
「はい、どうぞ」
学校に来るのが早い俺と浅川は、この時間を活用して、話すことが多かった。
まだ、だれも来ていない教室で、浅川は包装された箱を差し出した。
「ああ、さんきゅ」
箱は浅川らしい几帳面な模様に、綺麗な包装、いわゆる清純系と言えば、分かりやすいだろうか。
「一番最初が玲菜じゃなくて、残念?」
「そんなことねえよ。
順番より、愛のサイズだしな」
愛のサイズと言ったら、今俺の手元にある箱はまさにそうだ。
この手に、すっぽりと納まる箱。
いくらなんでも、小さすぎやしないか?
俺の考えを読んだのか、浅川は言った。
「ああ、ごめん。
義理と本命、ちゃんと分かるようにしたくて。
でも義理あげるの、源だけなんだけど」
「桜に、あげるんだ?」
あの浅川が、少し頬を赤く染めたりして、チョコを渡すところが俺にはどうも想像できない。
とても失礼な事を言っているのは、自分でもよく分かっている。
だけど、少しばかり想像してほしい。
笑顔を見るのは月1回程度で、どんな時も言葉と表情が合っていない美女が、照れながらバレンタインにチョコを渡すところを。
俺の想像力が欠けているだけかもしれないが、何度イメージしても出てこないのである。
「一応ね」
俺は、桜や浅川、玲菜とは違い、あそこまでモテない。
あいつらは、尋常じゃない。
俺は実際モテないわけでもないのだが、あいつらと比べると、微々たるものだ。
だけど、こんなこと言ったら、ただの負け惜しみになるのだろうが、チョコレートは好きな子から貰えれば、それだけで十分じゃないか。
大事なのは数ではなく、愛だよ、愛。
「はい、どうぞ」
学校に来るのが早い俺と浅川は、この時間を活用して、話すことが多かった。
まだ、だれも来ていない教室で、浅川は包装された箱を差し出した。
「ああ、さんきゅ」
箱は浅川らしい几帳面な模様に、綺麗な包装、いわゆる清純系と言えば、分かりやすいだろうか。
「一番最初が玲菜じゃなくて、残念?」
「そんなことねえよ。
順番より、愛のサイズだしな」
愛のサイズと言ったら、今俺の手元にある箱はまさにそうだ。
この手に、すっぽりと納まる箱。
いくらなんでも、小さすぎやしないか?
俺の考えを読んだのか、浅川は言った。
「ああ、ごめん。
義理と本命、ちゃんと分かるようにしたくて。
でも義理あげるの、源だけなんだけど」
「桜に、あげるんだ?」
あの浅川が、少し頬を赤く染めたりして、チョコを渡すところが俺にはどうも想像できない。
とても失礼な事を言っているのは、自分でもよく分かっている。
だけど、少しばかり想像してほしい。
笑顔を見るのは月1回程度で、どんな時も言葉と表情が合っていない美女が、照れながらバレンタインにチョコを渡すところを。
俺の想像力が欠けているだけかもしれないが、何度イメージしても出てこないのである。
「一応ね」