君は変人

中2二月―スー―

トシ兄にフラれて、もう一カ月。

月が過ぎるのって、本当に早い。

桜とは相変わらず喧嘩三昧の日々だけど、心底から桜的恋愛思考を否定しないようになった。

それだけでも、人類が月面着陸したくらいの、進歩だと思う。


そして、もう2月の半ば。

2月の半ばって言ったら、バレンタイン。

日本のチョコレート会社には、本当に怒りが込み上げてくる。

日本ではバレンタインは、女子から男子にチョコレートを渡す日みたいになってるけど、海外では性別指定もチョコ指定もない。

日本のチョコレート会社はそれに便乗して、勝手にそんな風な流れを作って、全く日本中の女の子は大変なんだから。


とは言いつつ、ちゃんと前日にレシピを見ながら一生懸命、トリュフを作った。

桜と川さんと、あとは・・・・・・ゲンに。


桜には朝、偶然玄関で会ったから渡した。

その時の桜の言葉は思い出すだけで、イライラする。


「お、スーのが1番最初か。
腹を壊さなきゃいいけど。
薬を用意しとかないと。
とりあえず、ありがとう」

そんなに料理苦手なわけじゃないし、とりあえずって何だよ。

それに比べて、川さんはいい人。


「ありがとう。
おいしそうね。
私のも、どうぞ」

そう言ってくれた川さんのチョコレートケーキは、すごくおいしそう。

包装紙を綺麗に解いたら、こんなおいしそうなケーキが出てきて、すごく食べたくなるけど、ダメだ。

今はゲンを待っているんだ。



そう、今日はゲンと二人きりで帰る日。

とは言いつつ、最近はほとんどゲンと二人だ。

桜も川さんも、部活が忙しいらしい。


「ごめん、ごめん。
ちょっと先生に呼ばれてさ。
遅れてしまった」

校門で待っていたあたしに向かって、走ってくるゲンを見て、胸の鼓動が高まるのを感じた。

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