君は変人
中2六月―頼朝―
相変わらず俺たちの関係は、何の変化もなく、普通と言っていいのかは定かではないが、だけどいつも通り日々は過ぎていった。
唯一変わったとすれば、俺と玲菜が桜について、少しずつ知ろうという意識に変わったところだろうか。
いきなり変わると、雲のように掴めない桜だから、どうなってしまうのか予測不可能なので、さりげなく俺たちは変わっていくことにした。
そうやって、桜について分かったことが少々ある。
まず、桜の誕生日は春らしい。
月日までは、口を濁しただけだった。
次に、桜の血液型はAB型だそうだ。
桜いわく、天才肌らしい。
勝手に言っておけ、と罵ったのだが、見当外れというものでもない。
別格な感じは、未だ変わらない。
趣味は、多々あるらしい。
具体的には教えてくれなかったが、大体は予測できる。
おそらく、植物の観察、特に桜の木。
そして、愛読書のあの携帯小説だろう。
あと、これは本人は否定するだろうが、屁理屈で大人を負かすことだろう。
俺たちにしては、頑張った方だと思う。
まあ、良く考えると、約1年間一緒にいて今更知ったのか、という感じなのだが。
それでも、大きな進歩なのだ。
浅川は時折目を大きくして、驚いた顔をしたり、うんうんと頷いて知っているというような顔をする時もあった。
だが、あくまでそれは俺の予想だ。
一応了承しておきたいのだが、浅川は非常に表情が出ない人なのである。
ということで、俺たちの日常は一見何の変化もないように見えて、実は大きく変わっている、と思うことにしたい。