君は変人

中2六月―頼朝―


相変わらず俺たちの関係は、何の変化もなく、普通と言っていいのかは定かではないが、だけどいつも通り日々は過ぎていった。


唯一変わったとすれば、俺と玲菜が桜について、少しずつ知ろうという意識に変わったところだろうか。

いきなり変わると、雲のように掴めない桜だから、どうなってしまうのか予測不可能なので、さりげなく俺たちは変わっていくことにした。


そうやって、桜について分かったことが少々ある。


まず、桜の誕生日は春らしい。

月日までは、口を濁しただけだった。


次に、桜の血液型はAB型だそうだ。

桜いわく、天才肌らしい。

勝手に言っておけ、と罵ったのだが、見当外れというものでもない。

別格な感じは、未だ変わらない。


趣味は、多々あるらしい。

具体的には教えてくれなかったが、大体は予測できる。

おそらく、植物の観察、特に桜の木。

そして、愛読書のあの携帯小説だろう。

あと、これは本人は否定するだろうが、屁理屈で大人を負かすことだろう。



俺たちにしては、頑張った方だと思う。

まあ、良く考えると、約1年間一緒にいて今更知ったのか、という感じなのだが。


それでも、大きな進歩なのだ。


浅川は時折目を大きくして、驚いた顔をしたり、うんうんと頷いて知っているというような顔をする時もあった。

だが、あくまでそれは俺の予想だ。

一応了承しておきたいのだが、浅川は非常に表情が出ない人なのである。


ということで、俺たちの日常は一見何の変化もないように見えて、実は大きく変わっている、と思うことにしたい。


< 90 / 145 >

この作品をシェア

pagetop