君は変人
桜を待っていよう、と言い出したのは玲菜だった。


俺はその気は全くなかったが、玲菜が強く懇願するように言うので、そこまで言うなら、と待っていることにした。

本当のこと言うと、俺は今の不機嫌な桜への対応の仕方が分からない。

桜は誰にも似てる所すらない、変な奴だから、いつも接するときは分からないことばかりなのだが、今回は少しいろいろと状況が違う。


もしかしたら、今の4人の関係が崩れてしまうかもしれない。

そう思うと、俺は不思議と鳥肌が立つような感覚を覚えた。


「ねえ、バスケ部と鉢合わせすることはないよね?」

教員用の駐車場のブロックの上に腰を下ろし、俺たちは会話をしていた。

「さあな。
そうなっても、おかしくはないよな」


「川さんと田上かあ・・・・・・」

田上と玲菜は1日だけ付き合ったことがあったな、と思いだす。

おそらく、玲菜もそんなこともあったなと思っているのだろう。

「田上って、どんな奴?」


「軽いよね、うん、軽い。
顔も結構いいからさ、モテるんだけどねー。
だけど、本当にあたしのこと好きなの?って彼女に聞かれてるの、何度も見たなあ。
あ、でも最近は彼女作らなかったんだよね、ここ3か月くらい」


男女ともから、人気な玲菜はかなりの情報網を持っている。

あれだけモテていて、女子から嫌われないのは、やはりすぐ別れるからだろうか。

いや、でもすぐ別れていたら、それはそれで男子との仲は悪くなりそうなのだが。


「へえ~。
やっぱり、浅川のこと本気なのかな。
そう言えば、玲菜と田上は、何で別れたんだ?」

頭を捻りながら考える玲菜を見て、それだけどうでもいいような関係だったのか、と思い内心ではかなり安堵していた。

「確かね、一緒に帰ることになって、あたしがコンビニ寄りたいって言ったの。
だけど、田上は近くにバスケットゴールのある公園があるから、そこに行こうって言って。
で、あたしにバスケを見せてやりたかったらしいんだけど・・・・・・。
それって、ナルシストじゃない?」

「まあ、あいつはナルシーのにおいがする」

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