【完】白い花束~あなたに魅せられて〜
私は大人の男の人に頭を触られると、条件反射で拒否してしまう。
…あの時、大河が私の頭に触れようとした時もそう。
大河が嫌いだからとかじゃない。
何故だかはわからない。
ただの条件反射。
身体が勝手に拒否をする。
…怖いと感じる。
「その後、俺は男じゃなくて兄になろうとしたよ。…まぁ努力の甲斐あって?仁菜は大分俺に懐いたけど、な」
「大変だったんだぞ」と笑う涼に少し申し訳ない気持ちになる。
「俺が見てきた限り、仁菜は大人の男に頭を触れられそうになると、顔が泣きそうになってた」
…そう、だったんだ。
初めて知った自分のそんなこと。
「…で、話戻すけどさ」
『…うん』
「幸せそうに笑ってた」
『……え?』
「翔に頭触られた時お前、笑ってたよ」
『…う、そ』
私があの表情を?
珠璃と同じ表情をしていた…の?
戸惑う私に涼は更に吃驚する言葉をくれた。
「仁菜は、翔に恋してんだよ」