【完】白い花束~あなたに魅せられて〜
『…恋?』
「そう。恋」
…恋ってあの、恋だよね?
私の経験のない…
ただ押し黙って膝をさらにきつく抱く。
だってわからない。
あれが恋なの…?
私が翔に恋、しているの?
俄には信じられない言葉。
私は涼に話の先を促した。
「…店で俺皿割ったんだよ」
『…知ってる』
見てたからね。
すっごい吃驚顔してたよね。
「あれは…まぁ、触ってた事にもだけど一番はお前の表情にびっくりしたんだ」
『…表情?』
「さっきも言ったろ?“幸せそうに笑ってた“って」
そう言ってスッと頭を撫でた涼。
『………』
それにはただ、ただ吃驚するしかなかった。
涼が私の頭を“撫でた”から。
ペシっと軽く叩いたりする事はあってもこんな風に…愛おしそうに撫でた事はなかった。
「仁菜はもう大丈夫だよ」
『…え?』
「翔に恋して、トラウマを克服したんだよ」
ポンポンと頭をリズムよく撫でる涼にただ困惑するしかなくて…。
でも疑問が浮かび上がった。