【完】白い花束~あなたに魅せられて〜
バレンタイン
「「おはよ〜」」
『…おはよう』
その日は珍しく涼に送ってもらって、事務所に行けばそこはいつも通り。
亜美奈はソファーに足を組んで座っていて、頬には手を添えている。
珠璃はソファーに寝そべり、机に足を乗せる。
それ大和が見たら引くよ…
あの日見た珠璃の表情からは想像もつかないその下品さ。
顔が可愛いだけにそのギャップにドン引きする。
ギャップに弱いとかよく言うけれど、これはない。
明らかにマイナスなギャップである。
「…ん″ん″ぅ〜」
つらつらと考えていた私に聞こえてきたうめき声。
それはまぁいつも通りっちゃぁ、いつも通りなのかもだけれど。
散らかり放題のデスクに突っ伏したガミさんは昨日またお酒でも飲んだのだろうか?
異常にどんよりとしていた。
「仁ー菜ぁ…」
唸るように呟いた言葉はガミさんが発したものとは思えない程のものだった。
酒灼けした声。
なんなんだろうか?
今日の送りが涼だった事といい、このどんよりとした空気といい…
困惑するしかない私は珠璃と亜美奈に視線を向けた。
“説明しろ”と。