【完】白い花束~あなたに魅せられて〜
「ガミって何であぁなんだろうな〜」
ダンスレッスンの休憩中話す事と言えばガミさんの事で。
珠璃は肩からタオルを引っさげて、胡座で地べたに座り込む。
「顔はキレイなのに三十路、独身、彼氏ナシじゃぁ、もったいないよねぇ?」
スタジオに設置されたパイプ椅子に足組して優雅に座り、ふふふって朗らかに笑う亜美奈だけれど、言ってることは結構酷い。
「そういやもうすぐガミの誕生日だなぁ」
『…あ』
言われて気づく彼女の誕生日。
2月14日。
恋する女の子が一番輝く日に生まれた彼女は、一番それに縁がないらしい。
…まぁ自分で遠ざけている節もあるけれど。
「不幸だよねぇ?誕生日+バレンタインを1人で過ごすなんてぇ」
「誕生日にペアディナー券でもやろうか?」
『…それ、拷問だよ』
ゲラゲラと笑う珠璃の提案には賛成しかねる。
だってフラれたっていうガミさんにペアディナー券?
嫌味にしか感じない。
「まぁ、それは冗談で。…何にする?」