【完】白い花束~あなたに魅せられて〜


彼は珠璃により、生贄にされた。


だけれど彼は大人だった。
珠璃の一方的な話にも嫌な顔一つせずに、快く引き受けてくれたらしい。


…彼もまた、彼女が欲しいのかも知れない。


「千夏ちゃん、そこに行けば素敵な王子様が待ってるよ」


ふふふと笑う亜美奈は朗らかではなかった。
四の五の言わずに受け取れ、とその笑顔が言っている。


「え…」


『…ガミさん、大丈夫だから。きっと楽しい1日になるよ』



だって藤村さん、顔はいいと思う。
ガミさんがどんな人が好きかは知らないけれど、イケメンには弱かった。


…それに優しい藤村さんだから、きっと素敵な時間が過ごせると思う。


「大丈夫だって!仁菜もこう言ってんじゃん!騙されたと思って行ってみろって!!」


珠璃の気迫に負けたのか、亜美奈の脅しに負けたのか、はたまた私の言葉に納得したのかはわからないけれど


「…わかった。ありがとう」


ガミさんはちゃんと受け取ってくれた。


『…でも、お酒は飲みすぎないように、ね』


「うっ…ハイ」


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