【完】白い花束~あなたに魅せられて〜
クランクアップ
暦は2月から3月に。
春が近付いた気がする今日この頃。
長い、長い冬はもうすぐ終わる。
「仁菜は今日も翔と来たのかしら?」
局入りして、控え室に行った私に真っ先に降りかかった言葉はガミさんのもの。
『…おはようガミさん』
私は素知らぬフリして話すけれど、実際この冷やかしはやめてほしかった。
3月1日に高校を卒業した翔は今、いわゆる春休みらしい。
彼は、私のマンションに良く来るようになった。
「…涼が寂しがってたわよ〜」
そう告げたガミさんは私を見て今日も笑う。
『…今度行くよ。社長にも会いに』
涼が寂しがってたって言うけれど会ってない期間は、半月くらい。
そんなに寂しがる程会っていないわけではなかった。