【完】白い花束~あなたに魅せられて〜
「今から移動するけど、撮影は明日からだから。まずはホテルに一旦行くわよ」
ガミさんの案内で乗ったリムジンバス。
亜美奈は「すごーい!キレーイ」を連呼していて、珠璃は「何買おう」を終始言っていた。
ゆらゆらと揺られて見慣れない街並みを眺めながら、ワイキキの市街地にあるホテルへと辿り着く。
結局携帯は手元に戻らないままで、翔に連絡が出来たのは、珠璃にお願いしてやっとの事だった。
『翔?』
「………仁菜か?」
珠璃の携帯から翔にかけた電話は、時差のせいかやたらと間があった。
国際電話だから仕方ないけれど。
…声だけでちゃんと私だってわかってくれたのが嬉しい。
『私…PV撮影で、なんでか今ハワイにいるの』
「………は?」
『だから、今日は会えないね…』
「………あ?あぁ」
『詳しくはまた帰ったら話すから、それまで待っててね?』
そう告げて電話を切った。
ちょっと素っ気ない翔に寂しさを覚えながら。