【完】白い花束~あなたに魅せられて〜
2日間のスピードPV撮影はあっという間に終わりを告げた。
「はーつっかれた!」
ホテルに戻って一番。
大きく伸びをして、ゴキゴキと首の骨を鳴らす珠璃に、女らしさの欠片を微塵も感じない。
「明日は1日フリーにしといたから久々の休日、満喫しなさいよ」
うふふ、と嬉しそうに言うガミさんだけれど、それって自分の為ではないのだろうか…?
じっと見れば視線を逸らされた。
…なんなんだ、一体。
ジト目でガミさんを見れば、後ろから明るい声が聞こえた。
「千夏ちゃん一緒にエステ行こう!!」
「いいわよ〜下調べバッチリしといたから!」
年長者2人は明日エステに行くらしい。
エステなんて、赤の他人に身体を触られるなんて、おぞましい以外の何物でもないと思う。
横目で2人を眺めて疑問に思った。
その手の会話にめずらしく不参加の珠璃。
彼女はそのまま「散歩」とホテルから姿を消した。
どうしたんだろう?
珠璃がどこに消えたのかは謎だったけれど、エステ話に花を咲かせる2人の会話に入るわけもなく。
私はフラリ、陽が傾きかけたビーチに向かった。