【完】白い花束~あなたに魅せられて〜
門から校舎に向かう道を歩きながら学校、面倒くさいなと思った私はサボりよろしく、図書館に向かおうと中庭への道にそれた。
その時、私を呼ぶやたらと呑気な声に歩く足を止める。
「仁ー菜ぁー」
『…ちひろ』
「おっはよーんっ!!ってあれ!?」
私目掛けて一直線に突進してきたちひろは、そのまま勢いよく私にタックルするかのように抱きついてきた。
『…』
出会って一番に抱きつくのはやめて欲しい。
それを目で訴えてみたが
「仁菜ー?」
ハテナ顔で可愛く首をこてんと傾げてる彼女には、伝わっていない様子。
それどころか両腕を私の首にぐるりと回してきた。
150ちょいの彼女が165ある私に抱きつくってのは、まるで恋人に抱きつくそれと酷似するものがある。
しかも顔が近い。
…………まるでレズ…
『…ちょっと離れて』
精一杯顔を歪めてちひろを自分から引き剥がす。
周りの視線も気になるし…
遠巻きに私たちを見てるのは紛れもなくこの学校の生徒で、ここに通う生徒はみんな芸能人や、その卵なわけで。
そんな彼らのネットワークはさぞかしすごいらしくて?これ以上変な噂は避けたかった。