【完】白い花束~あなたに魅せられて〜
『…おはようじゃないよ』
はぁっと吐いた吐息。
唾液が糸を引いてなんだか、それが妙にいやらしく感じる。
ドキドキしながら、翔を見つめていると
「俺風呂入ってくるから、仁菜はカフェオレでも飲んでな」
設置された冷蔵庫を指して、何てことない顔をした翔は、颯爽とバスルームへと行ってしまった。
それを見送って、冷蔵庫からカフェオレを取り出して飲む。
いつも飲むカフェオレよりも甘いそれに思わず顔を顰めてしまう。
外国特有の甘み。
ドキドキとした心臓を沈めようとすればする程、シンとした部屋に響くような気がして、余計にドキドキした。