【完】白い花束~あなたに魅せられて〜
「「…これ」」
それは見覚えのある顔だった。
だって彼は…
「そう、榎本海斗(えのもとかいと)。あんたたち知ってるわよね?」
「いや知ってるも何も…」
珍しく珠璃は狼狽えていた。
写真をじっと見つめたまま。
それは私も同じなんだけれど。
だって榎本海斗はこの相模芸能事務所所属の、俳優だったんだから…
「…彼が売れてなかったの、知ってるでしょう?」
「…まぁ」
「だから俳優業は諦めて、マネージャーとして働く事になったの」
『………』
マジで?
…いや、まぁこの世界そんな事なんてザラだけれど。