【完】白い花束~あなたに魅せられて〜


「あいつだろ?榎本海斗って」



チラリとスタッフと話す榎本さんを一瞥した翔に『うん』と小さく頷く。



「ふーん。生で初めて見たけどやっぱ顔いいな?」



私の瞳をのぞき込むように見る翔に、気付けば壁際へと追いやられていた。



少しみんなと離れたそこ。



セットの脇で死角になっていて、みんなからは見えない場所。



『私はガミさんと違ってイケメンに靡いたりしない』



その試すような翔の瞳に負けないように、見つめ返す。



だって私は翔だけ。
翔に会えなくて、Quartetの曲を聞くくらい。



…それってファンの子たちと一緒みたいで嫌。



私には翔だけ…



『翔だけが好きなの』



きゅっと握った手に力を込めて告げれば



「わかってる。俺も」



チュッと啄むようなキスを落とした。


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