【完】白い花束~あなたに魅せられて〜


やだ。



助けて。



翔……



…怖い。



後頭部を押さえられて逃げたいのに逃げれない。



ただ私の口の中に侵入する舌に涙が溢れた。



気持ち悪い…



息が出来ない。



『……ふぅっ……んっ…』



キスは暖かいものじゃないの?


何の感情も伝わらない。
怖いと感じるだけのこんな行為…キスじゃない。



「…何泣いてんだよ。こんくらいで」


『……っ』



唇が離れた途端榎本海斗に浴びせられたら言葉に、更に涙が溢れた。



「…俺はお前が嫌いだ。絶対全部ぶっ壊してやる。……覚えとけ」



車から無理やり下ろされて、吐き捨てるように言った榎本海斗。



…私だってあんたなんか大嫌いだ。



地べたに座り込んで、ただ去って行く車を睨んだ。



……翔に会いたいと涙を零しながら。


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