【完】白い花束~あなたに魅せられて〜
ひょいっと私を抱えて自分の膝の上に乗せた翔に、思わず肩がビクッと震える。
向かい合った形になった私に翔は「相変わらず軽いな」なんて笑って私のほっぺたを軽く抓る。
痛くはないけれど、抓られた事に少しムッとして翔を見れば途端に口角を持ち上げて
「俺も月9主演決まった」
言ったんだ。
その顔は嬉しいというか…
やりがいを見つけたみたいな…こう、輝かしい笑みだった。
『…え?』
月9…?
って夜月曜日9時…?
「今以上に忙しくなるし、会えなくなるかもだけど…」
『…頑張ってね?』
その先は自分で遮った。
会えなくなる事なんて聞きたくない。
本当は翔の事応援したい。
…だけど心ではそうじゃない。
私は翔といたい。
本当はずっと一緒にいたい。
こんな時間がずっと続けばいいなんて…思ってる。
翔は仕事に真面目。
役作りもちゃんとするし、演技も…歌もダンスも上手い。
『…好き』
そんな気持ちをこの好きに込める私は重い。