【完】白い花束~あなたに魅せられて〜
好きだから言えない。
言わない。
そっと頭を撫でられるこの瞬間が落ち着く。
私の重い気持ちが一瞬浮上する…
「俺には仁菜だけだから」
その言葉に泣きそうになる。
『私も翔だけ…』
この溢れる気持ちを抑える術を私は知らない。
好きって気持ちはいつかなくなるのだろうか…?
…そんな日がもしも来るのなら、私は今を永遠にしたい。
それくらい翔が好きって気持ちで私は埋まってる。
「仁菜…」
どんどん近づく距離。
キスは暖かくなるもの…
私は翔が好き…
“俺がめちゃめちゃに壊してやるよ”
不意に浮かぶ榎本海斗の言葉とあの時の恐怖。
『…っ』
ドンッ
「…仁…菜?」
『…あっ…っ…』
翔がキスしようとした瞬間…身体が何故か拒否していた。
胸を強く押した私を眉根を潜めて見ている翔。