【完】白い花束~あなたに魅せられて〜
その夜は何もなかった。
お風呂から上がった私に翔は何も言わずに、カフェオレを差し出してくれて…それを受け取った。
翔がお風呂から上がった後は翔の腕の中で、いつの間にか眠りに落ちていた。
暖かい体温に安心して寝れたんだと思う。
抱きしめ合う事はできるのに、どうしてキスはできなかったんだろう…
なんであそこで、あんな事思い出したんだろうか?
眠りに落ちるまでそんな事を考えていた。
榎本海斗の事は考えたくないのに、なんで…
あの不気味な笑みと、あのタバコの匂いを思い出して吐きそうになるのを、シーツを握って紛らわせた。