【完】白い花束~あなたに魅せられて〜
車の中で終始無言だった私達はそのまま別れて、私は楽屋で一旦着替える。
「仁ー菜ちゃん」
『…大河』
スタジオ入りした私に掛かる声。
今は誰よりも近しい存在に感じられた。
遠くでスタッフと話ながらこちらを見てる榎本海斗から、逃れるように大河の死角に入る。
「仁菜ちゃん?」
『……』
そんな私を不思議そうに眺めて大河はあぁと頷いた。
「マネージャー苦手なんでしょ〜」
ニヤッと笑った大河は多分確信したんだろう。
だって疑問系じゃなかった。
それには答えずに
『…大河がホームドラマって可笑しい』
告げれば、「お互い様でしょ〜」笑われた。
深くは突っ込まないでくれる大河は、いつもの軽い感じ。
…このドラマに大河がいて良かったなんて、思った瞬間だった。