【完】白い花束~あなたに魅せられて〜


いや…大河が榎本海斗の言う通りにしているのも、意味が分からない。



「ってゆーのは建前で〜頼まれたんだよ。翔にお前の事〜」


『…しょ…う?』



その問いに「そ」と短く答えた大河は台本を取り出した。



「翔も忙しいから心配なんだろ〜?仁菜が。だから同じ現場の俺に頼んだんだろーよ?」


『…そんな、事…聞いてない』



全く聞いてない。
電話した時に何も言ってなかった。



「声でわかったんだと」


『…え?』


「元気がねぇって」


『……………』



……会いたい。
そんな事を大河に言う翔を愛しいと思う。



そんな事を考えていた私に「愛されてんな」って言って笑った大河に、泣きそうになった。



嬉しくて。



大河の気持ちが。
翔の優しさに。


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