【完】白い花束~あなたに魅せられて〜
それはあの日。
あのプリメーラのクランクインの時と同じような感覚。
幼い私は小さなクマのぬいぐるみを持っていて…
泣いていた。
何かに怯えて。
“…やだっ来ないでぇっ”
“仁菜!こっちに来なさいっ!!”
泣き叫ぶ私に、誰かが…
手を伸ばして…
バシンッ
―…殴る。
その容赦なんてない暴力にまだ幼い私は、思いっきり吹っ飛んで…その勢いで壁で頭を打つ。
どんなに泣いても喚いてもやめてくれなくって…
“…やぁっ”
“仁菜はいい子だ”
あれは誰なの…?