【完】白い花束~あなたに魅せられて〜
私のマンションと変わらない広さのリビング。
そこに設置された茶色のソファーに座らされる。
「…大丈夫か?風呂…」
『………辞めたい』
びしょ濡れの私の髪の毛をタオルで拭く翔の言葉を遮った。
「……え?」
聞こえなかったのか翔は私に近付き、耳を澄ます。
だからもう一度今度はハッキリと聞き取れる声で
『もう芸能界、辞めたい』
震える身体を抱え込んで告げた。
「…何かあったのか?」
『…アイドルなんて…本当は興味ない』
その言葉に翔が眉根を潜めたのがわかった。
スッと私から離れた翔は向かいのソファーへと腰を下ろす。
その目は続きを言えって言ってるようで、黙ったままの翔に話した。
『ドラマなんて…したくない。
社長に言われてアイドルになっただけの私には…何もないから。
……私は翔と一緒にいれればそれだけで、いい』