【完】白い花束~あなたに魅せられて〜
翔はただ、私に手を振り払われたまま目を見開いて固まっている。
『…もういい。翔には私の気持ちなんてわからない』
なんでこんな事になるのかがわからない。
私はただ、翔に近くにいて欲しかった。
…それってダメな事なの?
涙が止め処なく溢れて、泣いてばかりの私は…弱い。
私は泣いて気を引こうとしてるの…?
翔の目は冷たくて、ゆらゆらと揺れる瞳は怒っているのがわかる程。
「…俺は仁菜の気持ちなんてわかれねぇよ」
吐き捨てるような言葉に、突き放された様な気がして
もうどうすればいいのかがわからなくなる。
ヒリヒリと痛む胸には何かが沈んでいって、重くなる。
『…帰る』
「送ってくか…」
『いいっ!!』
「仁菜!!!」
翔の言葉を遮って、急いでマンションを後にした。
すぐにタクシーを停めて乗り込む。
行き先は―…