【完】白い花束~あなたに魅せられて〜
通いなれたマンションに辿り着き鍵を開けるけれど、やっぱり今日も誰もいない。
涼の店に行けば良かった、なんて考えて白いソファーに腰掛ける。
ガミさん…怒ってるよね…
撮影途中で逃げ出したから。
みんなに迷惑かかっただろうし…
だけど今更戻れなくって。
ただ静かに涙を流す。
一応ガミさんに連絡しようと、携帯を取り出そうとすれば…
『…あ』
衣装のままだった事を思い出した。
…携帯は楽屋に置きっぱなし。
…何もかも上手くいかない。
ふぅっと一息吐いて、お風呂に入って、ガミさんの部屋のベッドに寝転がった。
…翔は…私に呆れたかな?
翔の事、芸能界の事、榎本海斗の事いろいろな事を考えた。
『…私サイテー…』
ぽつり呟いた言葉は誰の耳にも届かない。