【完】白い花束~あなたに魅せられて〜
Quartet
私が実際にQuartetに会ったのはクランクインするほんの1時間前だった。
それはいきなりやってきた。
『…トイレ行ってくる』
「仁菜大丈夫かぁ!?なんか顔色悪くねぇ!?」
珠璃の声に返事をせずにふらふらと控え室を後にした。
「……仁菜でも緊張したりするのかなぁ?」
「するだろーよ。仁菜だって人間だぞ?」
「…でもぉ、普段の仁菜って表情あんまり出さないからぁ…」
「…“出さない”んじゃなくて“出せない”んだよ」
2人がそんな話をしていたとも知らずに。