【完】白い花束~あなたに魅せられて〜


「私は仁菜を愛してる。仁菜が産まれてくれて、私の前でこうして元気にいる事が…嬉しいよ」



壱成さんは私の背中に腕を回して、抱きしめてくれる。



それは、私が望んでいた家族の暖かさ。



お母さんにも、あの人にも貰えなかった言葉。



私も壱成さんに腕を回して、抱き合った。
お互いに涙を流しながら。



「…仁菜はみんなと出会う為に産まれたんだよ」



私の頭をぽんぽんと撫でながら、言う涼に『…みんな?』疑問を投げかける。



「そう、みんな。俺や親父に千夏さん。珠璃や亜美奈。…それに翔。…仁菜はみんなから愛されてるよ」



…もう泣きすぎて瞼がヒリヒリして痛いよ。



涼の言葉には更に泣かされて、嗚咽混じりになりながらも告げた。



『…あり、がッ…とう。私を……救って、くれて』



私の顔は涙でぐちゃぐちゃ。



ずっと泣きっぱなしだったけれど、今は嬉し涙だよ。



願った事が現実で。
私にはこんなにも想ってくれる人達がいて…


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