【完】白い花束~あなたに魅せられて〜
それからしばらく泣き続けた私の耳にドアが開く音がした。
「仁菜っ!」
息を切らして髪の毛なんて少しボサボサになっているガミさんは、リビングのソファーに座る私に抱きついてきた。
「榎本君から連絡があったんだけどっ…今まで仕事で…」
その名前で思い出す榎本海斗の存在。
『…ガミさん…私っ』
言ってしまっても…いいのだろうか…?
榎本海斗の事を…
私は―…
「もう言わなくていいから!!」
ぎゅうっと抱きしめるガミさんの力が強くて、少し息苦しく感じる。
『…榎本海斗…嫌だ』
「知ってる。聞いた榎本君本人から…」
『…え?』
本人から聞いたって何を―…?
あの人はガミさんに何を言ったっていうの…?
「パパ、涼ちょっと仁菜と2人で話させて」
「「…あ、あぁ」」
私の両隣に座っていた壱成さんと涼に視線を向けたガミさんは、2人から了承を得て私をガミさんの部屋へと連れて行った。