【完】白い花束~あなたに魅せられて〜
携帯を開けば、不在着信がいっぱい入ってた。
…一番最初は榎本海斗。
時間からして多分、私が楽屋を飛び出してすぐだと思う。
その後は翔から…何回も…
「…榎本君謝ってたわよ」
『…え?』
携帯からガミさんに視線を向ければ、フッと笑った彼女。
「手荒な事したって…ひどい事を言ったって…悪かったって…」
あの榎本海斗…が?
そんな事を…?
「今更そんな事言うなって私が殴っておいたから。
もう、変な事はしないと…思うわ」
『……ありが、とう…』
ガミさんが…イケメンに抗えないと言った彼女が…
榎本海斗を殴るなんて…ちょっと……いやかなり信じられない。
「ま、とりあえず今は翔に電話でもしなさい。私リビングにいるから」
片手を上げて部屋から出て行くガミさん。
パタンと閉じられたドアを見つめた後、私は携帯のボタンを押した。