【完】白い花束~あなたに魅せられて〜
翔の部屋のソファーで、後ろから抱きしめられる形で座って…
それには少し恥ずかしくてドキドキしたけれど、顔を見れないかも知れないから良かったかも…なんて考えた。
『…翔に話さないといけない事がいっぱいあるの…』
こんな話をしてもいいのだろうか?
だけど、私は壱成さんが父親だと翔に伝えたい。
ガミさんや涼が本当の家族なんだって言いたい…
洋服の裾をぎゅうっと握って、目の前にある観葉植物に視線を落とす。
翔は私の肩をポンポンとリズムよく叩いてくれて、それに少し緊張が解れて、ゆっくりと話した。
『聞いたら引くかもしれないけど…』
そんな言葉を皮きりに。
それに翔は「引かねぇよ」と即答してくれたけど。
『…私のお母さん、日本人じゃないの。どこの国の人かはわからないけど…』
思い出そうとしても、もう思い出せない母親の顔。
ただ私に似ている気がする…
私の嫌いなこの顔に…
『お母さんは私が4歳の時に死んだの…自殺だった…』
「仁菜…」
回された翔の腕に力が入ったのがわかった。