【完】白い花束~あなたに魅せられて〜
ガミさんと事務所に行けば、そこにはいつもの様に珠璃と亜美奈。
だけれど、事務所内の雰囲気はあまり良くはなかった。
珠璃は机に足を乗せて、イライラとした様子で踵を鳴らしている。
亜美奈も腕を組んで、少し頬を膨らませて瞼を閉じていた。
珠璃と亜美奈は「ふざけんな」とか「ありえない」とかぶつぶつと呟いていて。
…それは多分
デスクに居心地悪そうに座る榎本海斗に、向けられたものだと思う。
「ほら、2人は先にレッスン行って!」
ガミさんに促されて半ば強引に立たされた2人は、去り際に「仁菜に何もすんなよ」と榎本海斗を一睨みした。
…多分2人も昨日の事を聞いたんだろう。
亜美奈なんて性格悪くてもイケメンなら許すって言っていたのに、珠璃だって私の為に怒ってくれた。
そんな2人が嬉しかった。
そんな彼女達だからこそ、私はやっぱり2人と一緒にアイドルを、これからもやりたいと思えたんだ。