【完】白い花束~あなたに魅せられて〜


レッスンスタジオのドアをそっと開ければ、さっきまでとは違う珠璃と亜美奈。



その表情は真剣そのもので、ふざけた要素は何一つない。



そんな2人のダンスを見ながら、思う。



珠璃も亜美奈も普段はふざけているけれど、アイドルとしては並大抵ではない努力をしてきているんだと。



…私がアイドルに興味がないなんて言っていたら、2人に失礼だと。



「…少しは元気になったかしら?」


『…宮内さん』



いつの間にか私の隣で2人を眺めている彼は、私達の専属振り付け師。



この業界だからなのか、なんなのか、彼は常にオネェ言葉。



顔がいいのにもったいない。



私の顔を覗き込んだ宮内さんは、笑顔で「今日からはしごくわよ」恐ろしい事を口にした。



…恐らく宮内さんも私の変化に気付いた1人なんだと思う。



こんな所なんて思っていた自分が恥ずかしい。
私はこんなにも周りに見られて、心配かけてる。



宮内さんに『次の曲から入ります』言えば



「次の節から入りなさいよ」なんて言われて肩を押されたけれど。



…スパルタめ。



そう思いながら今までとは違う、前向きな感情でレッスンを受けた。


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