【完】白い花束~あなたに魅せられて〜
事務所から出た瞬間むわっとした熱気と、梅雨独特の湿気が身体を包み、思わず顔をしかめる。
事務所内は寒かったのに、外は暑くて、すでに汗がジワリ滲んでいた。
6月の下旬。
夜7時といってもまだ明るくて、空がどんよりとしているのが窺える。
きっと明日も雨なんだろう。
駐車場に停められた車の中は外よりも暑くて、その熱気を逃がすためにすかさず窓を開けた私を見て「すぐ冷房つける」と呟く榎本さん。
車内に流れる音楽は軽快な洋楽で、このどんより空と、鬱陶しいくらいの熱気を吹き飛ばしてくれる様な気がした。
「仁菜明日学校だからな」
『…わかってる』
榎本さんは最近言う事が、ガミさんに似てきた。
まぁガミさんの部下?にあたるわけだから、致し方ない事なのだろうけど。
明日は久々の学校。
午前中だけなんだけれど、やっぱりこんな天気だし家で読書していたいって思う。