【完】白い花束~あなたに魅せられて〜




事務所から出た瞬間むわっとした熱気と、梅雨独特の湿気が身体を包み、思わず顔をしかめる。



事務所内は寒かったのに、外は暑くて、すでに汗がジワリ滲んでいた。



6月の下旬。
夜7時といってもまだ明るくて、空がどんよりとしているのが窺える。



きっと明日も雨なんだろう。



駐車場に停められた車の中は外よりも暑くて、その熱気を逃がすためにすかさず窓を開けた私を見て「すぐ冷房つける」と呟く榎本さん。



車内に流れる音楽は軽快な洋楽で、このどんより空と、鬱陶しいくらいの熱気を吹き飛ばしてくれる様な気がした。



「仁菜明日学校だからな」


『…わかってる』



榎本さんは最近言う事が、ガミさんに似てきた。



まぁガミさんの部下?にあたるわけだから、致し方ない事なのだろうけど。



明日は久々の学校。
午前中だけなんだけれど、やっぱりこんな天気だし家で読書していたいって思う。


< 284 / 410 >

この作品をシェア

pagetop